年を取るとともに、運動能力を含め、身体の機能は低下していきます。この加齢変化は脳の機能に関しても同じように認められます。しかし、例えば毎日運動の習慣を持ち続けると、何歳からでも身体機能は維持・向上できるのと同様に、脳の機能も、脳を上手に使う習慣を持つことによって、維持。向上させることができます。私たちは脳科学・認知科学・情報科学の知識から、脳の情報処理速度を上げ、一時的な記憶の容量を増やすトレーニングが、脳機能の維持・向上には効果的であることを見出し、それを証明してきました。講演では、実際にトレーニングによって脳が作り替わり、さまざまなこころの機能が向上する実例を示しながら、日常生活の中にこうしたトレーニングを取り入れるコツについて紹介します。また、児童・生徒の学力向上を目指したプロジェクトを進めるなかで、私たちの身近に、脳の機能を低下させる怖い習慣が潜んでいることを発見したので、これを紹介し、将来の社会の在り方について一緒に考えます。