金剛宝山輪王寺五百五拾年史
片野達郎 著 1994.10 仙台輪王寺刊 A5 406P 上製函入 8,500円 仙台共同印刷出版部扱 

序文

金剛宝山輪王禅寺は、今を去る五百五十余年金剛宝山輪王禅寺は、今を去る五百五十余年前の嘉吉元年(一四四一)、伊達家第九世大膳大夫政宗公の夫人、蘭庭明玉禅尼の所願により、奥州伊達郡梁川に開創された寺で、其の後、伊達家が居城を移すごとにこれに従い、仙台北山の現在地に居を定めたのは、第十七世政宗公の仙台開府の後、慶長七年(一六〇二)のことであります。爾来二百六十有余年、伊達家一門格の寺院として、その擁護のもとに明治維新を迎えるに至りました。輪王寺は、明治九年(一八七六)、北山に発した野火のため、仁王門のみを残して七堂伽藍を全焼、再興の策なく荒廃のままに二十数年を経ましたが、明治三十七年(一九〇三)、福定無外和尚が曹洞宗より選任されて復興にあたられ、辛苦の末、大正四年(一九一五)、本堂、庫裡を完成、今日の輪王寺の基礎を築かれたのであります。輪王寺復興の事業は、昭和十八年(一九四三)より日置五峰和尚に受け継がれ、昭和四十七(一九七二)年よりは現住がこれを継承して今日に至りました。昭和五十六年(一九八一)、開山第一祖太庵梵守大和尚の五百回大遠忌に当り、大本山永平寺貫主猊下秦慧玉禅師を大導師に拝請して法要を厳修。更に、平成三年(一九九一)には、輪王寺開基蘭庭明玉禅尼五百五十回大遠忌。輪王寺第四十一世中興智環無外大和尚五十回忌。第四十二世天外五峰大和尚報恩忌の法要を、曹洞宗管長総持寺貫首梅田信隆禅師猊下御親修のもとに営みました。輪王寺の今日あるのは、開山大和尚の高気徳風と、五百五十年余にわたって法燈を護持し続けて来られた歴代住職の護法教化の徳力のたまものであり、また、伊達家ならびに檀信徒の援助によるものであります。今年、平成六年(一九九四)は、先住天外五峰大和尚の二十三回忌に当りますが、ここに輪王寺五百五十年の足跡を永久に記念すべく、『金剛宝山輪王寺五百五十年史』を編纂、刊行することになりました。十余年にわたって御尽力下さった、編纂委員の方々、また、直接執筆に当られた、東北大学名誉教授片野達郎先生に心から感謝し、無外和尚による輪王寺再興八十年の今年を節目に、法燈の護持を心新たに誓う次第であります。       

  平成六年十月二十七日
                    輪王寺四十三世 日 置 道 閑 九拝

 

 
片 野 達 郎(かたのたつろう)
国文学 文学博士 東北大学名誉教授
昭和 2 年6月23日 鎌倉市に生まれる
昭和29年3月 東北大学文学卒業
昭和34年3月 東北大学大学院博士課程退学
主 著
『金塊集』(昭47,新典社)『日本文芸と絵画の相関性の研究』(昭50,笠間書院
『輪王系譜と仙台輪王寺略記』(昭59,輪王寺)『斉藤茂吉のヴァン・ゴッホ』(昭61,講談社)『金剛宝山輪王寺五百五拾年史』(平6,輪王寺)
 

SENDAIKYODO Printing Co.,Ltd.