平成23年6月26日
於 仙台

賦 何 人ふすなにびと 連 歌 五十韻

   夏 大地震おほなゐの街をわたるやほととぎす 鈴木 昱子
   夏 まぶしかりけり梅雨晴れの空 林  順一
   夏 隣家に南部風鈴吊されて 菅野 美子
   雑 夕ぐれ早し薄墨のいろ 有路八千代
   月 月光に写し出されし観覧車 大和 類子
   秋 硯を洗ふ水汲みにゆく 伍井 さよ
   秋 玉すだれ小庭にひつそり咲いてゐる 菅野 哲子
   秋 新米をとぐ流れの清し 原田 夏子
   雑 ほそぼそと踏みかたまりし峡をゆく 菊池 栄子
   雑 風によろこぶ草も髪毛も 丹治 久惠

ウ  述懐 たわいなき夢のいくつかよみがへり 熊谷 淑子
   述懐 姉妹の仲いまに慕はし 本木 定子
   花  吾もまた花のしたにて死にたきを 桂  重俊
   春恋 寄り添ふふたりひひなの宿へ 夏子
   春恋 乱れたる心に蝶の後を追ふ 昱子
   雑旅 訪ねきたれり三陸の海 順一
   月  ふるさとの地酒一本月の客 美子
   秋釈教 弥勒踊の輪のひろごりて 久惠
   秋  蕎麦をうつ香りに呼ばれ午后の日を 類子
   秋  はじけてゆらぐあけのまゆみは 栄子
   秋  いびつなる洋梨うれて卓にあり 淑子
   雑  とびとびによむ本のすぢみち さよ
   神祇 鈴鳴らし拝礼拍手二度三度 哲子
   神祇 庭を走る童の群れが 夏子
   春  曲水の宴に連なり筆をとる 久惠

二オ 春  桜見上げてそぞろに歩き 定子
   春旅 武蔵野の学舎を訪ふ春寒に 重俊
   雑  古代の音を秘めたる土器は 淑子
   月  露天湯のまなかにうかぶ十三夜 さよ
   秋  芦の穂絮ほわたの窓にすぎつつ 昱子
   秋  閖上ゆりあげの港もいまは秋深し 八千代
   神祇 岬に祀る沖つ荒神 順一
   雑  たらちねの母の生家の親しかり 定子
   雑  老舗の羊羹みやげに買うて 美子
   雑恋 停車場に待ちてまたれて逢瀬なれ 類子
   雑恋 つなぎし手をばふりつつやさし 八千代
   雑恋 きみ遙かほほづゑつきて夜のに さよ
   雑恋 涙の壺はおもひのしづく 哲子
   冬  雪虫につきまとはれて散策す 栄子
   冬  破れ障子もつくろはぬまま 夏子

二ウ 花  ひもとける花散里のあはれにも 久惠
   春恋 余寒のなかに口づけしをり 淑子
   春恋 思ひ出は落花流水赤青黄 重俊
   夏  絵団扇もちて宵の集ひに 類子
   雑  励ましの太鼓うつなり男衆 昱子
   月  十六夜の月追ひくるごとし 栄子
   秋  一椀の零余子むかごいひをいただきて 順一
   秋  いろはもみぢの裏山しき 美子
   雑  誕生日子が祝ひくるる「万之助」 重俊
   雑  五十韻なり巻きあげし寿よ 哲子

昱子 四 順一 四 美子 四 八千代 三 類子 四 さよ 四 哲子 四
夏子 四 栄子 四 久惠 四 淑子 四 定子 三 重俊 四  


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