『東北都市事典』が刊行の運びとなった。
『東北都市事典』出版企画が始まった2000年7月である。東北都市学会として事典の刊行事業を行うことを決め、学会会長によって委嘱された比較的若手の会員による出版企画ワーキンググループは精力的に検討を重ね、10月に報告書「東北都市学会出版企画 東北都市事典(仮称)の編集内容について」が提出された。テーマ編、データ編、事典の読み方からなる編集内容は斬新で『東北都市事典』に相応しいものであり、「東北都市事典刊行要綱」(案)が12月に作成された。その後、刊行体制を整えることを進め、翌2001年4月に学会理事会において刊行要綱が承認された。 ここに刊行の目的、刊行の方針を掲げておこう。

■ 刊行の目的
東北都市事典の刊行は、東北を語るために必要な言葉・情報を斬新な構成で編集し、しかもわかりやすく、かつ詳しく提示することによって、東北に関心をもつ広い意味での専門筋の読者ならびに東北に興味をもつ一般読者にとって活用度の高いものを提供し、21世紀における東北都市の発展に寄与することを目指す。

■ 刊行の方針
(1)東北の都市を語りつつ東北を語り、東北を語りつつ東北の都市を語る、という方法によって東北の歴史・現状・課題を明らかにする。
(2)学・公・民それぞれの界の研究成果をあまねくとりいれつつも、わかりやすい叙述をおこなう。
(3)広い意味での専門家、一般読者、図書館、学校、行政、企業などにおいて活用度の高いものとする。
刊行の方針に示されているように、「東北の都市を語りつつ東北を語り、東北を語りつつ東北の都市を語る」ということを目指し、さまざまな界、領域、分野の方々に執筆を依頼することにしたのである。
刊行のスケジュールを2003年3月に設定し、執筆依頼を2002年8月に始めた。しかし、編集作業、原稿の整理等に時間がかかり、刊行スケジュールを調整し、一年延長をすることになったのである。一時は刊行の目途に暗雲が立ち込めることもあったが、編集委員の努力、執筆者のご協力、学会会員の期待に押されて漸く完成にこぎつけたといってよい。
 企画として用意されたすべての項目(テーマ、データ)を事典に収めることはできなかったが、それはまた、東北を語ることの難しさあるいは語るには未だ時間を要するということ示しているのかもしれない。それらを含めてあらためて事典を見直す作業を将来に見据えておくことにしたい。

編集委員 佐藤直由


印刷・出版をお手伝いして

 人にとって物を作ること以上の喜びはないと言われます。
 道程が遠く険しいほど、まして、それが少しでも世の中の役に立ったり、喜ばれるものだったりしますと、この感慨も一入です。
 今回の『東北都市事典』の印刷・出版は正にこのことを地で行く出来事であり、しかも、弊社、創業50余年の節目にあって金字塔の感さえ覚えるのは、小さな会社の大きな矜持であります。
 今回の『東北都市事典』は事典でありながら、東北地方の歴史、文化、現状、課題が述べられ、どことなく懐かしさと温もりが漂う東北を知る「東北の物語」といって過言ではありません。是非ご高覧下さい。
 ご執筆下さった方々、編集委員の皆様、またご尽力・ご協力下さった皆様、本当に有難うございました。謹んで厚く御礼申しあげます。

株式会社 仙台共同印刷       
代表取締役 長谷川 進



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