実行委員長挨拶
この度、2025年9月27日(土)と28日(日)の2日間にわたり、神戸薬科大学にて「付加体科学部会第3回シンポジウム」を開催する運びとなりました。
ヒトを含む地球上のすべての生物は、体内と外界で化学物質のやり取りをしながら生命を維持しています。それらの化学物質には、生命維持に必須のものだけでなく、有害なものも多く含まれます。これらの化学物質が生体内の化学物質・分子とどのように相互作用し、どのように健康に影響するのかを理解することは、予防医学・予防薬学的に重要な課題です。特に共有結合を介した相互作用(付加体形成)は、強固性、持続性の観点からヒトの健康に大きな影響を与えます。
一方、生体の基本構成成分であるタンパク質は、合成(翻訳)後に様々な化学修飾(付加体形成)により機能制御を受けます。たんぱく質の付加体形成は疾患との関連も深く、リン酸化やユビキチン化、脂質修飾、糖鎖付加など様々な付加体形成反応と病態との関りが報告されています。
これらのことから、付加体形成を理解し、その制御方法を開発することは新たな医療の開発に寄与すると考えられます。
2022年、日本毒性学会内において、化学物質の生体内分子への結合とその作用に関する研究を統合的に発展させる場として「付加体科学部会」が設立されました。2023年に岡山大学で第1回キックオフシンポジウム、2024年に理化学研究所で第2回シンポジウムが開催され、今回、第3回シンポジウムを神戸薬科大学にて開催することとなりました。
前回に引き続き今回のシンポジウムでも、若手優秀研究賞ならびに学生優秀発表賞を設けておりますので、若手研究者や学生の皆さんの積極的な応募をお待ちしております。本シンポジウムが「付加体科学」という新しい研究分野の発展に向けた有益な議論の場となるとともに、次世代の科学を支える人財が育つ場となることを期待しております。多くの皆様のご参加とご発表を心よりお待ちしております。
付加体科学部会 第3回シンポジウム
実行委員長 長谷川 潤
(神戸薬科大学)